- 始まりのサンタの物語。
〜司教・聖ニコラウスの伝説より〜 脚色:テン子
あるところに、貧しい一家が住んでおりました。
一家には、三人の娘がいましたが、貧しくて娘たちを、嫁がせることが出来ませんでした。
とうとう暮らしに困り果てた父親は、娘を売って生活をしのぐことを決意しました。
そして、長女を売る決意をしたある日のこと。
長女が、暖炉につるしてあった靴下をはこうとして、取ってみると、その中に、何かが入っていました。
長女が靴下の中の物を取ってみると、それは、金貨だったのです。
それを見ると長女は、急いで父親のもとに走りました。
「いったい誰が金貨を入れてくれたのだろう・・しかし、これで、長女は売りせずに済むし、嫁がせることもできる」
父親は、いぶかしく思いましたが、これは神の御恵みに違いないと思い、有難くいただくことにしました。
一家は、神に祈りを捧げ、そして長女は無事にお嫁に行くことが出来ました。
またしばらくたった頃の事です。
暖炉につるしてあった靴下に、また、金貨が入っていました。
(いったいどういうことだろう・・。)
金貨を見た父親は、この不思議な、施しをしてくれる人物の正体が気になりましたが、しかしこれで次女も無事に嫁に出すことが出来るのです。
そして一家は、また、神に感謝の祈りを捧げました。
次の日の朝、この家に残った三人(父親、母親、三女)は思いました。
「いったい誰がこのような施しをしてくれているのだろう・・やはり、神が我々を御救いくださっているのだろうか・・。」
神の存在を信じてはいましたが、やはりどうしてもその正体が気になりました。
そして、三人は金貨を入れてくれる人物をつきとめようと思い、その夜から、交代で、暖炉を見張ることにしました。
数日がたったある日のこと・・。
その日もいつものように、一家三人は家の明かりを消し床につきました。
そして、真夜中になり月の光が家の中を照らします。
すると、天井から何かがごそごそとする物音が聞こえます。
しばらくして、
カツーン
カツーン
ボスッ!
煙突の壁に何かがぶつかりながら暖炉の中に何かが落ちた音がしました。
(来た!・・いったい誰が?)
その様子を見ていた父親は、屋根の上から地面に降りる人物の後をそっとつけていきました。
そしてその人影を捕まえ、その人物の腕をつかんで体を振り向かせました。
「あなたはいったい誰なんですか?!」
父親は、その人物の顔を見て驚きました。
「ニコラウスさま!」
その人物は、隣に住んでいた、ニコラウスという青年でした。
ニコラウスは、資産家であった両親を亡くし、相続した莫大な財産を貧しい人々に分け与えたり、人々に教えを説いたりしていた知恵と人望を持った聖職者でした。
ニコラウスは、その父親にこう言いました。
『このことは、生涯口外はしないでください』
そして、そっと立ち去りました。
父親はその場に立ちつくし、彼の姿が消えるまで、じっとニコラウスの後ろ姿を見ていました。
そして目からほろほろと涙が、落ちるのを感じていました。
(神よ・・。どうかあの方をどんな困難からもお守りください・・。)
・・・おわり。
とまあ、少々色をつけさせて頂きましたが・・。
こんな感じで・・。
サンタさんというのは、この出来事があった後司教になられた聖ニコラウスという実在した方がモデルといわれております。
3〜4世紀の現在のトルコで財産家の親元に生まれ、たいへん教養と、善意の心を持ち合わせた方だったそうです。
この逸話、あんまりはっきりとしたことが書かれてなくてですね。(すいません、今回この話については、ワタクシの調査不足のようで・・。)
まあ、とにかく、せっかくクリスマスなのだから、ちょっと肉付けして、クリスマスストーリー風に書き変えちゃえーってことで、書いてみましたが・・。
いかがでしたかね・・。
おおむね、こんな感じで一般的に伝説となっております。
その他にも、この聖ニコラウスさんという方、残虐な肉屋夫婦に殺された子供達を生き返らせた救世主・・というか、「子どもの守護聖人」としても崇められていたり、聖ニコラウスって何者なんだ・・というのが私の、率直に感じた感想でして。
今回は、テン子脚色「サンタ物語」という形でこのニコラウスさんの逸話をご紹介しましたが・・。
ほかにもね、世界各国それぞれのサンタの逸話や、クリスマスに関する話がたくさんありましたので、家族団らんついでに、調べてみてはどうですか?
結構、話がぶっ飛んでたりして・・いえ奇跡にまつわるお話が多くて、面白いですよ。
ではでは、メリクリ―。
クリスマスの部屋へGO!