水にっき。

  • 第20回 あのひとあのひ。


  • ここでは、わたし、キンギョが詠ったオリジナルのポエムをご覧いただけます。

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    あのひとあのひ。


    ”ムスッ”とした顔で、何かを考えている。
    あの人は、あの日、少女だった。


    そんな顔して自分の世界の中にいる
    そんな彼女を、あの子はいつもみていた。
    そんな彼女が好きだった。


    あの日、あの人は少女だった。

    あの人の顔はまたかすんで、記憶のずっと向こうへ消えていく。


    いつでもそうだ。

    あいつも、あの人も、みんな・・。


    あの子の望むものは
    いつだって
    あの子のつかめそうでつかめないところにあるんだ。

    あの子の気持ちなんかおかまいなしで
    その罪のない無邪気な笑顔をあの子に向けてくる。


    おこれないじゃないか・・。


    あのこと、あのひと。

    あいつも、あの人も、みんな・・。

    あの子の手からするりと滑り落ちてしまったんだ。

    いつだって
    だまって、遠くに流れていくのを見てるしかなかったんだ。


    あの子のほほをつたうシズクは
    そっと
    あの子のキオクを洗い流していく。

    みず部屋へもどるわ。
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    2016年10月9日