水にっき。

  • 第22回 いつか。


  • ここでは、わたし、キンギョが詠ったオリジナルのポエムをご覧いただけます。

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    いつか。


    いつか。

    いつか
    この道を歩きたい。

    あの時のように。

    日がおちてきて
    みず色としろとオレンジ色のグラデーションがきらきら光る。
    電信柱の電線にとまってる黒い鳥たち。
    山に囲まれたちいさな町は
    帰りを急ぐ人達の足音で騒がしくなるじかん。

    横にならんだ三つの影。

    つまらない朝のニュースの話をしながら。

    たわいのない家族の愚痴をいい合いながら。

    くだらないバラエティ番組の内容にケチつけながら。

    いつかまたここで会おうよ。

    みんなバラバラになっちゃって。


    あの日みたいに
    あの時の町はもうは残ってはいないけど。

    それでも、わたしは三人並んだおばあちゃんたちのつまらないおしゃべりを聞いていたいんだ。
    いつかまたここで帰り道を一緒に歩こうよ。


    いつかまたここで
    あの日みたいに。

    途切れたあの人の声がまたあの子の頭の中に浮かび上がってくる。

    はかない夢のように
    いつもあの子の心を惑わす。

    ほんとはもう、そこにはないのに。

    いつも白い記憶の影を追って
    いつかまっ白くなって消えてしまうまで。

    みず部屋へもどるわ。
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    2016年10月11日