水にっき。

  • 第37回 この町で。


  • ここでは、わたし、キンギョが詠ったオリジナルのポエムをご覧いただけます。

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    この町で。


    この町で、
    この空の下
    ここにいるわたし

    ここにあったボロボロの家
    ここにあったパチンコホール
    パン屋さんも魚屋さんも酒屋さんも

    帰り道の途中にあったあの家も
    みんななくなってしまった。

    人も家も新しいモノと古いモノがちょっとずつ入れ替わって
    町の様子もちょっとずつさみしくなっていく。

    ひとつとして同じ場所に残り続けるものはない。

    神社の千年杉だって最初からあんなに大きな幹をして
    はっぱを揺らしてたわけじゃない。

    この世に形づくられて生まれ出てきた命は
    生涯という道を歩かされる。

    変わり続けることを制約とし
    命というものを与えられる。

    この町も、人も、変わる。

    町の灯は少しずつ消えていく。

    守るべきか

    見守るべきか


    「花は散りゆくときが一番美しい」

    だれかの請け売り

    散ってしまうのもまた一つのかたち。

    ただ、この空のこの月はいつものように
    黄色く光に照らされてあるんだよね。

    みず部屋へもどるわ。
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    2016年10月18日