水にっき。

  • 第84回 心の中に浮かぶもの。


  • ここでは、わたし、キンギョが詠ったオリジナルのポエムをご覧いただけます。

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    心の中に浮かぶもの。



    透明なからっぽのガラスの器が浮いている

    ぱき ぱき ぱき

    ぴき ぴき ぴき

    やがてガラスにひびが入って
    ぱらぱら 床へ崩れ落ちてく

    ピアノの重厚な音が
    その破片を
    ゆっくり空中へと運んで行って
    そのままあの子の目の前で浮遊する

    あの子は触れる

    ガラスのカケラは皮膚を裂き
    滴る血はあの子の人差し指をつたって
    床にぽとり

    一滴の血はあの子を取り囲むようにして広がり
    赤黒く染まった床はガラスの部屋を
    血の海に変えていく

    みず部屋へもどるわ。
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    2016年11月10日