水にっき。

  • 第36回 おもいで。


  • ここでは、わたし、キンギョが詠ったオリジナルのポエムをご覧いただけます。

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    おもいで。


    思い出せないのか
    思い出したくないのか

    思い出したくないのなら
    なんで思い出したくないんだろう

    そんな言葉が呪いのようにあの子の頭の中をぐるぐる回る

    「過去には縛られない」

    誰かが言った、ずっと受け継がれてきた言葉。

    過去に何を残してきたのか。
    「何も残さない。
    そう決めた。」

    セーラー服を着た少女が心の中でつぶやいた。

    意地なのか。
    誰かに惑わされたくないから?

    殻から外にでることに臆病だった。

    外に出るには、武器がいる。

    誰も、守ってはくれないよ。

    聴こえてきた声が彼女に新しい道を与える。

    少女は、何の武器も持っていなかった。

    だから、少女は言葉を身に纏って外にでることにした。

    おもいでをつくらないように。

    いいおもいでは武器の持たない少女の心を再び殻の中へ戻そうとする。

    「過去には縛られない」

    言葉は少女の体の中に眠る。

    前に進みたかった。

    臆病な自分を
    震えるその手を引いて
    前に進みたかった。

    だからあの日
    「おもいで」という言葉を捨てた。

    みず部屋へもどるわ。
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    2016年10月18日